━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ MOON LIGHT EXPRESS ━━━━  MOON LIGHT EXPRESS Electrofile  ムーンライトエクスプレス−エレクトロファイル . * ・*  [FILE: 000028] 2001,12,09 ★━━━━……‥‥  http://www.mlexp.com/ " *  . *  electrofile@mlexp.com + . ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 《総発行部数 4,024部(前号発行時点)》 ●このメールマガジンの登録変更/解除はこちらから → http://www.mlexp.com/mm/index.htm#regist ☆INDEX☆ ▼番組特選 ○NHKスペシャル「宇宙 〜 未知への大紀行〜」最終回 ▼掘り出し図書特選 ○ホーキング、未来を語る ○心の影 ▼コスモスコープ ○スーパーカミオカンデ大打撃! ▼お知らせ ○あなたもSETIやってみませんか? ○メーリングリスト登録者募集中! ○投稿作品募集 ○ご意見、ご感想募集 ▼コラム ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ MOON LIGHT EXPRESS ━━━━ 番組特選 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ NHKスペシャル「宇宙 〜未知への大紀行〜」 第9集 ブラックホール〜銀河を操る謎の天体〜 12月30日(日)21:15〜 NHK総合 全9回シリーズのNHKスペシャル「宇宙」の最終回。宇宙に存在する生命の可能性と その行方に迫る。壮大な宇宙の活動を最新の観測技術で描き出しながら、そこに秘 められた謎と今後の展望を、ここまで一連の「宇宙」シリーズの総括としてまとめ られる。 inpaku 宇宙・未知への大紀行館 http://www.inpaku.nhk.or.jp/space/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ MOON LIGHT EXPRESS ━━━━ 掘り出し図書特選 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ ホーキング、未来を語る 【電子書籍先行発売】 著者:スティーヴン・ホーキング/訳=佐藤勝彦 出版:アーティストハウス 価格:1,200円+税 ISBN:--- ▼ 目次 相対論について/時間の形/クルミの殻の中の宇宙/未来を予測する/過去を保護 する/私たちの未来は/ブレーン新世界 ▼ 内容紹介 ベストセラー「ホーキング宇宙を語る(邦訳)」の続編となる、ホーキングが一般 向けに著したノンフィクション。現代物理学が予測する世界像と、研ぎ澄まされた ホーキング氏の洞察により、さらに踏み込んだ宇宙と我々人類の未来を描き出す。 本書は電子書籍として先行発売されており、下記サイトからオンラインで購読でき る(無料立ち読みも可)。 オンライン購読 : http://www.10daysbook.com ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ◆ 心の影 【12月発売予定】 著者:ロジャー・ペンローズ/訳=林一 出版:みすず書房 価格:3,600円+税 ISBN:--- ▼ 内容紹介 数理物理学の天才ペンローズが解き明かす心の量子論。脳は精巧な計算機ではない。 心は計算不可能(その過程を示すことはできない)とし、その上で実在するという プラトン的世界のあり方を説く。彼の前著「皇帝の新しい心」は、世界中の多くの 科学者の批判を浴びてきたが、本書は、それらに反論する内容ともなっているので、 その前著の続編として読むことをお勧めしたい。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ★ 皆さんのお勧め書籍を紹介してください この本は皆にも読んで欲しい、そんな本を是非紹介してください。内容は、宇宙、 科学一般に関する専門書、解説書、読み物などです。その新旧は問いません。 紹介していただける場合、上記フォーマットの項目を分かる範囲で書き添えていた だき、見所など簡単な内容紹介も(できれば)お願いします。また、あなたの名前 も書いていただければ、紹介者名として掲載致します。 宛先はこちら electrofile@mlexp.com ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ MOON LIGHT EXPRESS ━━━━ コスモスコープ 2001年12月版 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★ スーパー・カミオカンデ大打撃! 《2001/11/23》 東大宇宙線研究所の「スーパーカミオカンデ」(岐阜県神岡町)で、光電子倍増管 (フォトマル)が何らかの原因により破損するという事故が発生した。「スーパー カミオカンデ」は、宇宙からやってくる素粒子“ニュートリノ”を観測するのに使 用され、最近、そのニュートリノに質量が存在する可能性を示したことで世界中の 注目を浴びていた。 事故は11月12日の午前11時頃、水槽のタンクへ注水作業中に発生した。「スーパー カミオカンデ」には、直径39.3メートル、深さ41.4メートルの水槽にガラスで覆わ れた直径50センチの光電子倍増管(フォトマル)が 1万1146 本装着されている。 今回の事故では、何らかの原因でこのフォトマルのうち1本が破損し、その衝撃波 や飛び散った破片によって周囲のフォトマルも連鎖的に破壊されたのではないかと 見られている。破損したフォトマルは7000本に登り、その他のフォトマルについて も亀裂が入っている可能性があるという。 「スーパーカミオカンデ」のフォトマルは特注品で、これを新たに製作するには、 少なくとも数年はかかるという。事故前の状態に完全に戻せるのは、早くても2007 年以降とされている。東大宇宙線研では、損傷を受けていないフォトマルと、在庫 として残っている約900本を利用し、本来の半分の能力ではあるが1年以内には観測 を再開を目指すとしている。  関連サイト: http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/index_j.html 【 どうなる?スーパーカミオカンデ 】 「スーパーカミオカンデ」という装置の名前を初めて聞く方のために一応の説明を しておくと、「スーパーカミオカンデ」というのは、純水5万トンを満たした円筒 形の巨大な水槽である。この壁面に高感度の光センサ(これを「光電子倍増管」と か「フォトマル」といっている)を敷き詰めて、わずかな光でも逃さず観測できる ようにした、いってみれば“超高性能光センサ”だ。 参考サイト: http://www.icrr.u-tokyo.ac.jp/intro/p_sk.html 何をするためにこんな装置が作られたかというと、課せられた使命は主に3つあり、 一つは、太陽からやってくるニュートリノ、または大気中で発生するニュートリノ を調べること、一つは、陽子の崩壊の観測を狙う(目撃する)こと、そして、いま 一つは、超新星爆発(重い恒星の終焉に起こる巨大な爆発)などによって宇宙から 飛来するニュートリノを調べること。 ところで、最近、「K2K実験」といって、この「スーパーカミオカンデ」に、250km 離れたところから人工的にニュートリノを打ち込んで、その「ニュートリノ振動」 を観測しようというプロジェクトが推進されている。茨城県つくば市の高エネルギ ー加速器研究機構(KEK)で、陽子シンクロトロン(加速器)によってニュートリノ を大量に発生させ、それを「スーパーカミオカンデ」へ射出するのである。これに よって、自然に観測されるニュートリノよりも精度の高い実験結果が得られること が期待されている。 参考サイト: http://neutrino.kek.jp/index-j.html ところが、今回の事故で、肝心の「スーパーカミオカンデ」は破損し、この計画も 頓挫しかねない状態となっている。KEKでは、このK2K実験をする為の陽子シンクロ トロンを2年後には解体することになっているが、それまでにスーパーカミオカンデ が復旧しなければ、この計画もここまでとなる。東大宇宙線研では、今残っている フォトマルで実験の再開を示唆しているが、それでも、本来の能力で望まれた研究 成果は期待できない。ニュートリノの質量を確定的にすれば、このK2K実験の意味は ノーベル賞に値するとされているだけに、今回の事故は痛手である。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ MOON LIGHT EXPRESS ━━━━ お知らせ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ あなたもSETIやってみませんか? 自分のパソコンを使って地球外生命の存在を探査しよう、という世界的に大人気の プロジェクトがSETI@home(セチ・アット・ホーム)です。世界中の数百万という パソコンがネットワーク上で稼動しているとてつもない規模の分散コンピューティ ングシステムでもあります。 SETI@homeもこの5月で3年目を迎えることになります。実は当初は2年間の限定 プロジェクトでしたが、その規模の広がりから世間でも注目される存在となり、さ まざまな支援やメディアでの紹介も受けて期間の延長が決まりました。これからも ますますの発展を続けていくことでしょう。 そんなSETI@homeへの参加方法ですが、いたって簡単です。クライアントソフト (スクリーンセーバソフト)をダウンロードしてインストールするだけです。あと はスクリーンセーバとしてあなたのパソコンの使われていない時間のうちにそっと データ解析を行ってくれます。 そしてデータ解析が終わったところでちょっとだけインタネットにつなぎます。あ なたの解析結果のアップロードと、次の解析データのダウンロードを行います(3 〜5分ほど)。 パソコンの使われていない時間を利用するなんて素敵な発想ですね。しかもそのセ ーバ画面ではとてもカラフルなデータ解析画面を表示しています。この画面の中に 宇宙からのメッセージがあるかもしれない、と思うとついつい見とれてしまいそう です。 地球外生命の探査は学術的にも意味のある活動です。ぜひともSETI@homeに参加し てみてください。また、当ムーンライトエクスプレスではSETI@homeのチームを作 成しています。よろしければ当チームにも参加してみてください。 SETI@homeの参加方法、そしてチームへの登録は以下のページに説明を載せていま す(トップページから [ SETI@home ] をクリック!)。  http://www.mlexp.com/information/seti.htm ★ ワンポイント クライアントソフトはプロジェクト規模の拡大に合わせて機能を拡張しています。 古いバージョンのクライアントソフトを使い続けていると解析データのアップロー ド時にバージョンアップを促すメッセージが表示されることがあります。そんなと きは最新のクライアントソフトにバージョンアップしてください。                                    ☆ +                           チーム管理人:mojio …                            seti@mlexp.com + ☆ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ■ メーリングリスト登録者募集中! 当サイトでは、メーリングリスト(ML)を開設しています。MLとは電子メール を使用してインターネット上に擬似的な電子会議室を実現するものです。宇宙のこ とや科学、哲学全般について気軽に語り合ってみませんか? 参加方法など、詳細は次のサイトでご確認ください。  http://www.mlexp.com/ml/index.htm ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ■ 投稿作品募集 ムーンライトエクスプレス−エレクトロファイルに掲載する小説、エッセイなどの 作品を募集しています。テーマは、宇宙、科学、哲学などに付随する内容。密かに 暖めているネタ、書き溜めて眠っている小説などありませんか?そのような作品を、 是非ここで発表しましょう。3000人を超える読者にあなたの作品をお届けすること ができます! 皆さんの作品は、次のアドレスで受け付けています。  sf-post@mlexp.com 詳細は次のサイトでご確認ください。  http://www.mlexp.com/theater/efilepost.htm ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ■ ご意見、ご感想募集 ムーンライトエクスプレス−エレクトロファイルに対する、ご意見、ご感想、記事 の内容に誤りのご指摘などは、随時受け付けております。皆さんの声をお聞かせく ださい。  宛先はこちら electrofile@mlexp.com ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ MOON LIGHT EXPRESS ━━━━  コラム ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ “ひまわり”が危機である。“ひまわり”といっても夏に咲く花のことではない。 日本の気象衛星のことだ。気象衛星とは、いうまでもなく、上空から地球の雲の写 真を撮影してリアルタイムにその動きを監視する為の衛星である。普段、天気予報 などでひまわりから送られてくる雲の写真が紹介される。あれをみながら、この雲 は次はどこへ行きそうだから、明日のその地方はどうだ、というわけである。 そもそも、ひまわりの設計寿命は5年であった。打ち上げは1995年3月。当初の予定 より1年以上も長く働いていることになる。なぜこんなことになっているのかとい うと、2年前に“MTSAT”というひまわりの後継衛星が打ち上げられる予定だったの だが、これがH2の8号機の打ち上げ失敗により、海の藻屑と消えてしまったから だ。気象庁は新たな後継衛星の打ち上げ準備を急いでいるのだが、それが完成し、 打ち上げに至るのが2003年以降と見られている。 もし、次の衛星が上がらないうちにひまわりが機能しなくなってしまったらどうな るか?とりあえず全国20箇所にある気象レーダーによって日本列島近辺の雲の状態 は把握できるが、遠く南海からやってくる台風などの動きは予想できない。そもそ も、大局的な雲の動きが見えなくなるので、天気予報の精度が下がるのは必至であ る(ちなみに、現在の日本の天気予報的中率は80%以上)。 それでは困る!というので、気象庁はこのほど、アメリカの気象衛星の借用を考え ているのだという。アメリカはGOESという気象衛星を2機運用しており、その1機 を拝借する。しかし、気象衛星というのは静止衛星で、一般の地球近辺を周回する 衛星にくらべて制御しづらく、GOESを現在のひまわりの位置(パプアニューギニア 上空付近)に移動させるのに3ヶ月ほどかかる。しかも、GOESは、現在ワシントン でしか制御することが出来ないため、これをひまわりの位置まで移動させたときに 制御できるようにするには、既存設備の改造が必要となる。 何より、借用というのは気持ちの良いものではない。日本はとりあえずは技術立国 なのである。それならばやはり自前の技術で、自前の衛星で天気予報くらいやって いかないと格好が悪いというものである。しかし、現実には、気象庁は既に10月の 時点でひまわりの位置修正を断念しているのであって、どうやら本当に、アメリカ の衛星借用ということになりそうである。 ( 2001/12/08 月影 ) ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ■ 編者ひとこと −「イー・ブイ・イー」ショッカーの掛け声かと思った(も) −流れた流れた。お願いするのも忘れる流星の雨。(お) −アッシャーを信じて来年渡米か(月) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ MOON LIGHT EXPRESS ━━━━  発 行 : ムーンライトエクスプレス  編 集 : ムーンライトエクスプレス編集室 WebURL : http://www.mlexp.com/ E-Mail : admin@mlexp.com ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━