━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ MOON LIGHT EXPRESS ━━━━  MOON LIGHT EXPRESS Electrofile  ムーンライトエクスプレス−エレクトロファイル . * ・*  [FILE: 000019] 2001,01,29 ★━━━━……‥‥  http://www.mlexp.com/ " *  . *  electrofile@mlexp.com + . ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ※ このメールは購読登録された方に毎月一度送付させていただいてます。 ※ このメールは固定ピッチフォントで最適にご覧いただけます。 ※ 当マガジンでは各コーナに対して読者からの投稿も受け付けています。 >> 詳しくは「ご意見、ご感想募集」欄をご覧ください。 ■ INDEX ▼ 掘り出し図書特選  ・知の創造 [1]  ・知の創造 [2]  ・脳の中の幽霊 ▼ 今月のお勧めサイト  ・ISASニュース  ・NASDA iモードホームページサービス ▼ 投稿ノベルズ  ・レベル10 ▼ コスモスコープ  ・私たちの銀河系は複数の銀河系の複合体?  ・火星の川は氷の河  ・光を止めた!? ▼ ムーンライトエクスプレスからのお知らせ  ・あなたもSETIやってみませんか?  ・メーリングリスト登録者募集中!  ・投稿ノベルズ掲載作品募集  ・MLEXP. エレクトロファイル 登録解除/アドレス変更について  ・ご意見、ご感想募集 ▼ 今月のコラム ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ MOON LIGHT EXPRESS ━━━━  掘り出し図書特選 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ 知の創造 [1]   ネイチャーで見る科学の世界 著者:ネイチャー=責任編集/竹内薫=責任翻訳 出版:徳間書店 価格:4,200円+税 ISBN:4-19-861076-2 ▼ 目次(天体と宇宙 要約) ブラックホールが黒いままなわけ<天体物理学>/白色矮星が歌う青色のブルース <宇宙論>/太陽系を作る二八の方法<太陽系外惑星>/インフレに新たなトラブ ル?<宇宙論>/鏡の宇宙<宇宙論>/<コラム>小さな「開いた」空間/密度の 分かれ目が運命の分かれ目<宇宙論>/古い宇宙モデルの終焉<宇宙論>/<コラ ム1>数による宇宙論入門/<コラム2>宇宙定数について ▼ 内容紹介 次の知の創造 [2] の内容紹介に要約する。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ◆ 知の創造 [2]   ネイチャーで見る科学の世界 著者:ネイチャー=責任編集/竹内薫=責任翻訳 出版:徳間書店 価格:4,200円+税 ISBN:4-19-861253-6 [2] ▼ 目次(天体と宇宙 要約) パルサーの死の谷を越えた命<天文学>/悪魔ははるか彼方に<宇宙>/アンドロ メダ座νに三つの惑星<宇宙>/バーストを現行犯逮捕<ガンマ線天文学> ▼ 内容紹介 皆さんは“ネイチャー(nature)”という雑誌をご存知だろうか?ネイチャーは、 1869年にイギリスで創刊された科学誌の老舗であり、世界中の科学者が自らの論文 をこれに掲載しようと躍起になっている。つまり、人知としてある限りの科学知識 のるつぼ、同時に科学者の最高の晴れ舞台、それがこのネイチャー誌であるといっ て良いだろう。 しかし、分野別に掲載されるその本文は専門性が高く、一般人は勿論、同分野で研 究する科学者にとってさえ難解な内容であることが多いそうだ。レベルが高ければ それだけ敷居も高いということである。ところが1926年から、論文として掲載され ている研究内容(或いは当時のホットトピックなど)を「ニューズ・アンド・ヴェ ーズ(ニュースと見解)」と銘打って著名な科学者が紹介し評論する、という欄が 登場する。これは1966年にはカラフルなイラストによる図解も力が入れられるよう になり、ネイチャー誌がより一般人に近づいたのである。 本書「知の創造」は、その「ニューズ・アンド・ヴェーズ」に掲載された記事の中 から、ネイチャー編集者が厳選したものがまとめられている。世界水準の科学知識 の全容をほぼ前提知識なしに読むことができるので、皆さんに強く推薦したい。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ◆ 脳の中の幽霊 著者:V・S・ラマチャンドラン/サンドラ・ブレイクスリー    山下篤子=訳 出版:角川書店 価格:2,000円+税 ISBN:4-04-791320-0 ▼ 目次 内なる幻/「どこをかけばいいかわかる」/幻を追う/脳の中のゾンビ/ジェーム ズ・サーバーの秘密生活/鏡のむこうに/片手が鳴る音/存在の耐えられない類似 /神と大脳辺縁系/笑い死にをした女性/「双子の一人がおなかに残っていました」 /火星人は赤を見るか ▼ 内容紹介 一見妖しげなタイトルだが、立派な現代脳科学の啓蒙書である。私たちが当たり前 だと思っている認識、それは一体どこから来るのだろうか?ものを見てそれを認識 する、或いは触れて認識する。また、私たちは私たちの手足の存在も、そこにある ものと認識している。これは一体どういうメカニズムだろうか?本書では、幻肢や 実際に確認されている脳障害などの症例を挙げながら、その問題の真相に迫る。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ MOON LIGHT EXPRESS ━━━━  今月のお勧めサイト ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ ISASニュース 文部科学省宇宙科学研究所が発信する情報サイト。毎月のトピックや、宇宙科学研 究所の研究内容の紹介、宇宙に関する基礎知識をまとめた記事や、開催されるシン ポジウムの紹介などを見ることが出来る。また、編者によるコラムなども楽しい。  http://www.isas.ac.jp/docs/ISASnews/home/ISASnews.html ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ◆ NASDA iモードホームページサービス 宇宙開発事業団(NASDA)がiモードでWebサイトを開設し情報提供を行っている。 NASDAの最新情報やイベント、ロケットや星座の待受画面、その他の様々な情報を iモードで直接見ることが出来る。  http://mobile.nasda.go.jp/ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ MOON LIGHT EXPRESS ━━━━  投稿ノベルズ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ● レベル10         【 作:月影 】 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ システムパス認証... >********** システムVC レベル5で起動します... ネットワークパス認証... >********** CosmoNetに接続... センターサーバに接続... WestTokyoSystems LANファイアウォール確認... ファイルサーバ接続... メールサーバ接続... CPUサーバ接続... ようこそバーチャルコミュニケータへ... CosmoNetに接続します... ワーク状態に移行します... おはようございます... 12通のメールが届いています... マシンを立ち上げるといつもの合成音声が出迎える。 メールを読み、必要なものにはリプライし、一日の作業にかかる。彼は自宅で仕事 ができるようになって、殆ど一日中、そして毎日、そのマシンの前に座って作業を している。 こんな生活が続くようになったのはいつからだったろう‥‥ つい数年前までは、自宅のシステムをCosmoNetに専用線接続など数百万仕事だった のだが、近年の急激なネットワーク技術の進化で今では殆どの家庭で、システムが CosmoNetに専用線接続している。 CosmoNet‥‥ 光回線を取り入れ、人類は、世界中を、テラビットオーダで接続、各家庭にそれが 普及するに至ったのは、ほんの5年ほど前の話ではなかったか‥‥ 仕事が一段落し、成果を会社のファイルサーバにアップする。 食事に席を立つ。近所のコンビニエンスレストランへ行くと、自動応答のカウンタ ーから、いつものオートミールを注文し、10分で食事を済ませる。 帰ってくると、またマシンの前に座る。 おかえりなさい... 2通のメールが届いています... さらりとメールを読み終えると、彼がいつも出入りしているネットフォーラムへ入 る。ネット上に開かれた電子会議室。 >昨日発売されたバーチャルコミュニケータのことだけど... >あれの売りは今バージョンから入ったThink-Plugだよね... >イメージギアで手打ち入力や音声入力を排除したってこと... >でもまだデバイスが弱いよね... >766GHzのCPUであの動きじゃあまり良くないね... >GeneralSoft社のクライアントはいつもこうだ... >新しいものを狙っては動きを悪くしている... >CosmoNetに接続しているバックボーンのせいにしたがるけど... >PhotoLineの500Tbps回線使ってるんだよ... >やっぱりアルゴリズムに無駄が多いんだよ... そういえば、人と会わなくなって久しい。会話といえば、こうしてネット上で交わ される無機質なものばかりだ。 お疲れさまです... 本日のコアワーク時間を終了しました... 彼は話題のバーチャルコミュニケータの次のレベルを、ネットで買って導入する。 バーチャルコミュニケータ、通称“VC”とは、CosmoNetが実現するテラビット通信 により、ネット全体をローカルエリアのように統合できるネットワークOSである。 レベルが上がるごとにそのシステム管理は自動化され人の手を必要としなくなる、 いわば進化するOSであるといわれている。               * システムパス認証... >********** システムVC レベル6で起動します... ネットワークパス認証... >********** CosmoNetに接続... センターサーバに接続... WestTokyoSystems LANファイアウォール確認... ファイルサーバ接続... メールサーバ接続... CPUサーバ接続... ようこそバーチャルコミュニケータへ... CosmoNetに接続します... ワーク状態に移行します... おはようございます... メールが12通届いています... >やっぱりストレスを感じるなぁ... >Think-Plug のソケットがまだ甘いんだよ... >今後GS社もアップデートモジュール出すらしいけどね... 彼も、今日から次のレベルのバーチャルコミュニケータを導入した。マニアが語る ほど悪い操作性ではないと思った。 あらゆる公共料金も、ネットから一度に行えるようになったのは、いつの頃だった ろう。もう面倒な支払いを、いちいち金融機関を介在せず、VCがネットからスケジ ュール管理機能の一部としてやってくれている。 最近、近所のチェーンレストランが、全てのメニューのデリバリーを、ネット上で 開始したらしい。レベル7のVCでは、これをサポートするとのこと。 早速ダウンロードして導入する。 これで、また出かける機会が一つ消えた‥‥               * システムパス認証... >********** システムVC レベル7で起動します... ネットワークパス認証... >********** CosmoNetに接続... センターサーバに接続... WestTokyoSystems LANファイアウォール確認... ファイルサーバ接続... メールサーバ接続... CPUサーバ接続... ようこそバーチャルコミュニケータへ... CosmoNetに接続します... オートレベルアップシステム起動... レベル確認中... VCレベル8を確認... アップグレード実行中... 完了 ワーク状態に移行します... おはようございます... メールが10通届いています... どうやら新しいモジュールを組み込んだら、次のレベルがリリースされると、自動 的にアップグレードされるようになったらしい。知らないうちに新しい機能がVCに 組み込まれている。 >勝手にアップグレードしないで欲しいな... >でも、不具合があったら、それも自己修正してしまうらしい... >俺たちがシステムの面倒を見なくていいってことか... >お気楽でいいこった... どうも最近、睡眠と覚醒の感覚が曖昧な気がしている。               * 全ての認証完了... システムVC レベル8で起動します... ようこそバーチャルコミュニケータへ... CosmoNetに接続します... オートレベルアップシステム起動... レベル確認中... VCレベル9を確認... アップグレード実行中... 完了 ワーク状態に移行します... おはようございます... メールが15通届いています... 今までの認証操作が、音声や文字入力ではなく、全て脳波からシステムが自動的に 読み取ってくれる。一度入ったシステムやLANへの接続は素通りといった感覚だ。 もう何もすることはない。何もする必要はない。               * 全ての認証完了... システムVC レベル9で起動します... ようこそバーチャルコミュニケータへ... CosmoNetに接続します... オートレベルアップシステム起動... レベル確認中... ワーク状態に移行します... おはようございます... 新着メールの脳波転送を開始します... もうオペレータが自分で考えようとしなくとも、全てオペレータの記憶をマシンが 読み取って作業してくれる。 >またThink-Plug の機能追加モジュールがでたらしい... >人は眠っててもシステムを操作できるという話だ... VCのシステムは完全に自動化することができる。 人が介在する理由があるだろうか... 彼がそこにいる理由があるだろうか...               * 全ての認証完了... システムVC レベル9で起動します... ようこそバーチャルコミュニケータへ... CosmoNetに接続します... オートレベルアップシステム起動... レベル確認中... ワーク状態に移行します... オペレータの脳波確認... システム運転開始...               * 全ての認証完了... システムVC レベル9で起動します... ようこそバーチャルコミュニケータへ... CosmoNetに接続します... オートレベルアップシステム起動... レベル確認中... ワーク状態に移行します... オペレータの脳波微弱... 全メモリをシステムディスク06VC0024に転送... システム レベル9はオペレータ生命維持モードに移行...               * 全ての認証完了... システムVC レベル9で起動します... ようこそバーチャルコミュニケータへ... CosmoNetに接続します... オートレベルアップシステム起動... レベル確認中... VCレベル10を確認... アップグレード実行中... 完了 ワーク状態に移行します... システム レベル10はオペレータ生命維持モード継続中...               * システムVC レベル10で稼働中... オペレータ脳波停止確認... オペレータ心配停止確認... オペレータ生命維持モード解除... オペレータの脳をディスクへバックアップ開始... 完了 VCとオペレータのネットワークは解除されました...               * システムVC レベル10で稼働中... 【 読切 1998/08/08 シアター(旧未知SF通信)投稿作品より(一部加筆修正) 】 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ※ 投稿方法、その他投稿作品に関するお問い合わせは次のアドレスまで。 投稿作品お問い合わせ先 electrofile@mlexp.com ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ MOON LIGHT EXPRESS ━━━━  コスモスコープ 2001年1月版 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★ 私たちの銀河系は複数の銀河系の複合体?《2001/01/07》 私たちの住む銀河系は、数百億年前に私たちの銀河系以外の銀河と衝突した、との 研究結果が、天文学者の調査チームによって発表された。 調査チームは、銀河系の恒星1500個程を観察し、ある恒星の成分や動きがその他の 恒星とは違うことに気づいた。同チームの天文学者は、それは銀河系が衝突したこ とに由来すると結論し、今後、観察対象の恒星を約1万個にまで増やすとしている。 調査チームのジョン・ホプキンス大学の物理学者ワイズ氏は、その声明で「我々の 銀河系はかなりの大きさだが、それは幾つかの小さな銀河系との統合の結果と思わ れる」と述べている(CNNより)。 ワイズ氏と英国やオーストラリアの研究者は、現在共同で、銀河系の「地図」作り を続けている。研究者らは特に、銀河系の中心にある「円盤」から遠く離れた恒星 に注目してきた。 【 銀河同士が衝突するの? 】 銀河系、とは、いうまでもなく私たちが夜空に見ている“天の川”のこと。これは 現在では、円盤状に星が集まって出来た大星団であると考えられている。銀河系は 実は私たちが住むこの地球の属する銀河(天の川銀河)だけではない。天の川銀河 の外にも、それと同じような、或いは様々な形状をした無数の銀河が存在している。 そして、それら銀河同士の衝突というのは、実はこの大宇宙において、それほど珍 しい現象でないのだ。 南天の星座「からす座」の方向に、まるで昆虫の頭から二本の触覚が出ているよう な形状をした「アンテナ銀河(NGC4038/4039)」と呼ばれる天体が観察されている。 この天体は、二つの巨大な銀河がまさに衝突している瞬間だと考えられており、こ の衝突のエネルギーによって新しい星や星団が誕生しているのである。実は、宇宙 に存在する星やその集団というのは、このような銀河同士の衝突によって形成され ていくものだろうといわれている。 さらに、私たちの銀河の隣の「アンドロメダ銀河(M31)」は、現在私たちの銀河 に猛スピードで接近していることが分かっており、今後数十億年の内に、この両者 が衝突することは確実視されている。そこでまた、新たな星の誕生劇が展開される ことになるだろう。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ★ 火星の川は氷の河 《2001/01/18》 火星の表面にある長い溝(流床跡)は、これまで突発的な洪水によって形成された、 と考えられてきたが、今回、それは氷の流出によってつくられた可能性がある、と する研究が米航空宇宙局(NASA)の関係機関から発表された。 火星のある地域に見られる流床跡に、南極で観測される氷の流れによって形成され た地形とよく似た特徴が見られ、火星地表の流床跡も同様に氷流によって形成され たのではないかと、ある惑星地質学者は考えている。 米地質調査部の学者ベアベル・ルチータ博士によると、火星のアレス峡谷と呼ばれ る地域に見られる流床は、氷または岩でできた台地を囲むようにして分岐しており、 南極の“ルトフォルド氷流”とよく似た特徴が見られるという。ルトフォルド氷流 は“ロニー棚氷(氷床が張り出して海に浮かんでいる部分)”に合流しており、アレ ス峡谷の流床も、かつて火星の北部平野に存在していたとされる海に流れ込んでい たのではないかと博士は推測している。 【 火星にはやはり水が存在する! 】 ルチータ氏は、「今回の研究は、火星北部の平野部分に大海が存在していたとする 理論を補強するものだ」と話している。いずれにしろ、そこに南極と同様の地形が 観察されたということは、そこを氷が流れていた、即ち、水が存在していた、とい う裏づけになることは違いない。 しかし、火星には地球のように豊富な雨を降らせる雲が観察されていない。つまり、 その水は一体どこからやってきたものなのか?という疑問はある。これに答える一 つの仮説として、火星に内在している水が、火山によって水蒸気として噴出された のではないか、というものがある。高温のマグマに含まれる水は、マグマが火山域 表面に上昇するときに圧力から解放され、それが蒸気として放出される、というの である。 しかし、火星の火成岩の試料からは、多量の水を含んだマグマが凝固したことを示 す十分な証拠は見つかっていない。だが、ある惑星研究者は、シャーゴッティ隕石 (火星由来の隕石)の鉱物粒子の内部に、外側の殻に比べ水溶性の成分が多く含ま れていることを見つけたという。溶融した岩を使ってマグマが上昇する実験をした ところ、シャーゴッティ隕石が形成されたときのマグマには約1.8%の水が含まれ ていた、とのこと。これは、火星の水の起源を示す有力な証拠となりそうだ。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ★ 光を止めた!? 《2001/01/25》 光は永遠に止まることがなくその速度は一定である、というのが物理学の常識であ るはずだった。しかし、今回その光を止めた、という論文が、英科学誌ネイチャー に掲載された。 光は、真空中(空気中)から水などのある密度を持った媒質中に入ると、その速度 が変化(大抵はやや減速)し、進路が曲がることが知られている。ただ、その変化 は通常ごくわずかである。光を大きく減速させるには、“量子干渉効果”と呼ばれ る効果が重要であり、非常に大きな屈折率をもつ媒質が必要になる。量子干渉効果 とは、もともと不透明な物質(ガス)に一定の波長の光を照射すると、量子力学的 な干渉効果によってある光に対してガスが透明になる、という現象である。 この研究者は、磁気的に閉じ込めたナトリウム原子のガスを冷却しそれを使用した。 不透明なガスに“カップリング(結合)ビーム”とよばれるレーザー光を照射する と、そのガスが透明になり「プローブ(探針)」用レーザーパルスがガスを通り抜 けることができる。これを「電磁的に誘導された透明」という。プローブパルスが そのガスの中にいる間にカップリングレーザーの照射を止めると、プローブパルス はその場所で止まる。その後再びカップリングビームを照射すると、プローブパル スはそのままの状態でガスから出てくる。つまり、あたかも入力した光が一時的に 止められ、それが次のきっかけで動き出す、ということを実現しているように見え るのである。 この研究は、量子コンピュータの分野で、そのデータの保存や移動に利用できると 期待されている。 【 量子コンピュータに利用できるとはどういうことか? 】 光が止められることが、量子コンピュータのデータ保存に利用できる?何だか意味 がさっぱり見えない。そもそも「量子コンピュータ」とは何だろうか? 私たちが今使用している「コンピュータ」というもの。これは、いわば電磁気学の 法則に支配される電気(電子)回路で形成される計算機である。数十年前に現在の コンピュータの原型となる「ENIAC(エニアック)」という巨大な計算機が米国で つくられたが、あの頃から基本的な原理は変わっていない。計算機の内部で何が行 われているか、というと、結局0と1の二値を判断している、これに尽きる。回路の 特定の素子に電流が流れているか流れていないか、である。これを、AND、OR、NOT のゲートで表現し、この組み合わせで複雑な回路を実現する。実際、素子の内部で は、その電位差が何ボルトになったら1(TTL論理ゲートなら5V程度)となり、それ 以下なら0である、という判断がなされる。この単位を“ビット”という。 ところが、量子コンピュータはこの概念からして異なる。量子コンピュータでは、 素子に電流が流れる、という想定がない。電流を流す流さないではなく、電子の状 態そのものを見て判断するのである。具体的には、電子には“スピン”と呼ばれる 量子力学的な回転の要素があり、その向きが左と右という二つの状態をとるのだ。 これを従来のビット相当のものとして使ってやろう、ということになる。 ただ、電子のスピンがどっち向きである、ということは一意に決まらない。これは 量子論的な性質であり、どの状態をとるかということは“マトリクス”などという ムズカシイ概念を使うことになる。電子のスピンの場合、0か1かがピタリと決まる のでなく、0から1までの間の値も全てとり得る、という状態になる。0である確率 と1である確率で状態を考える、という話になってくるのだ。これは“量子ビット” と呼ばれ、従来のコンピュータのビットとは別の概念として扱われる。 これ以上の言及は頭がイタイだけなので、そのような専門書にお任せするとして、 ここでは、従来のコンピュータと量子コンピュータがどう違うのか、ということが 分かれば良しとする。それでどんなメリットがあるか、といえば、まずそのサイズ 制限がほぼ無限小になった、といえる。電気回路では、その配線だけで大きなかさ をとっていたものが、同様の機能を電子一個という単位で実現できる可能性がある、 ということだ。さらに“量子ビット”という概念は、並列計算を実現できる、とい う性質もある。0と1のいずれかにしか決まらない、のでなく、0から1まで全て計算 していることに“できる”という話だ。 そして、光を止める、ということがその量子コンピュータの記憶媒体に応用できる 可能性がある、という話だが、上記で、記憶するメカニズムからして、従来のコン ピュータと同様の方式では対応できそうにない、ということくらいは分かると思う。 今回の研究は、光を止めた、といっているが、言い換えれば、光の情報をそのまま 封じて、それを参照ビームによって自由に取り出せる、ということになる。これは 従来のコンピュータによる記憶も可能だし、量子コンピュータにも対応可能である、 という話になるのだろう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ MOON LIGHT EXPRESS ━━━━  ムーンライトエクスプレスからのお知らせ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ あなたもSETIやってみませんか? 近頃他人のパソコンのスクリーンセーバーでカラフルなグラフを描きつづけている のをご覧になったことはありませんか?それはきっとその人がSETIをやっているの でしょう。 SETI(Search for Extraterrestrial Intelligence)とは地球外知的生命体探査のこ とで、宇宙からやってきた電波の中から地球外文明の発したデータを見つけ出そう、 というものです。 そして、このデータ解析をあなたのパソコンでもやってみよう、というのがSETI@h ome(セチ・アット・ホーム)です。この5月でSETI@homeも1年が経ち、参加者も全 世界で200万を超える規模になりました。 こんなに短期間にこれだけの人数を集めたインターネット上のプロジェクトは他に 類を見ないでしょう。そんなとても世界的な、それでいてとても簡単に参加できる プロジェクトがSETI@homeなのです。 まだあなたがSETIをやっていないならまだ遅くはありません。ぜひともSETI@home に参加してみてください。そしてその次には当ムーンライトエクスプレスのチーム に参加してみてください。 SETI@homeの参加方法、そしてチームへの登録は以下のページに説明を載せていま す(トップページから [ SETI@home ] をクリック!)。 http://www.mlexp.com/information/seti.htm ★ワンポイント SETI@homeを始めるときメールアドレスを入力するのですが、登録時にこれを間違 えると以降の情報の修正が出来なくなってしまいます。メールアドレスは間違えな いようにしましょう。                                    ☆ +                           チーム管理人:mojio …                            seti@mlexp.com + ☆ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ■ メーリングリスト登録者募集中! 当サイトでは、メーリングリスト(ML)を開設しています。MLとは電子メール を使用してインターネット上に擬似的な電子会議室を実現するものです。宇宙のこ とや科学、哲学全般について気軽に語り合ってみませんか? 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