Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation (誘導放射による光増幅)を縮めた略称。
原子内電子の量子状態(量子力学:1925年) †
ボーアの原子モデル :
1) 定常状態(軌道)
2) ν = (En - Em) / h ( ν: 光の振動数, E: エネルギー, h: プランク定数 )
電子(electron)が原子核(nucleus)の周囲を回っているというモデル。
古代原子論 : デモクリトス(B.C. 460-370頃, ギリシア) †
宇宙に存在するものは、
空虚な空間と分割不可能な原子のみである
近代原子論 †
1) ボイル(1627-1691;イギリス)
知覚しうる物体は粒子が集まってできており、
粒子は形、大きさ、運動または静止を持つ
実験的手法によって「それ以上区別できないもの」を元素とみなすことを主張し、化学に原子概念を導入することを意図した。
2) ドルトン(1760-1844;イギリス)
物体には3種の区別あるいは3つの状態がある。
即ち、弾性流体(気体)、液体、固体である。
水の三態はよく知られた例。これは3つの状態全てをとることができる。
我々の感覚に触れるような大きさの物体はすべて、
引力によって結び合わされた莫大な数の極微粒子、
あるいは原子から出来ている。
その引力は、状況によって大きかったり小さかったりする。
3) トムソン(1856-1940;イギリス)
- 1897年 - 原子の構成要素である電子を発見
- 1903年 - 無核陽球原子モデルを提唱
ほとんど質量を持たない一様に帯電した球(陽球)の中に、
電子が球と共心の何重ものリング状をなして配列し、
円運動を行っているモデル。
4) ラザフォード(1871-1937;イギリス)
- 1911年 - 有核原子モデル
原子(〜10^-8cm)の中心に原子核(正の電荷を持ち、原子の質量の大部分を担う)があり、そのまわりを、軽くて負の電荷を持った電子がクーロン力に引かれて回っている惑星モデル。
(問題点)
電子は加速度運動→電磁波(エネルギー)の放出→電子は連続的にエネルギーを失いながら螺旋軌道を描いて原子核に落ち込む→原子は不安定となり、連続スペクトルの光を放出する
5) プランク(1858-1947;ドイツ)
- 1900年 - 量子仮説
原子が光を放出したり吸収したりするときに、原子のエネルギーは光の振動数に比例した不連続な量(E = hν : エネルギー量子)だけ変化する
6) アインシュタイン(1879-1955;ドイツ)
- 1905年 - 光量子仮説
光はエネルギーE (= hν) のかたまりとしての粒子である(光子:photon)
波動性と粒子性(二重性) †
1) 光の二重性
- 波動性 - 回折現象、干渉現象(ホイヘンスの原理)
- 粒子性 - 光電効果、コンプトン効果(E = hν, p = hν/c)
2) 物質の二重性
- 粒子性 - 質量、運動量(p = mv)
- 波動性 - 電子、中性子の回折現象、干渉現象
○ド・ブロイ(1892~;フランス)
物質波 → λ = h/p(光の運動量 p = hν/c = h/λ)、ν = E/h
○波動力学、量子力学(1925年)
- シュレーディンガー(1887-1961;オーストリア)
- ハイゼンベルグ(1901-1976;ドイツ) : 不確定性原理
特異な光 : レーザ †
○ネオンサインの光
ネオンなどの不活性ガス(気体原子の集合)をつめたガラス管(放電管)に電流を流す(即ち、自由電子、イオンなどを走らせる)と、自由電子が気体原子に衝突して原子内電子にエネルギーを与え、高いエネルギーの軌道にたたき上げる(励起:excitation)。原子内電子は、このエネルギーの高い軌道から、自国は予測し得ないが、元のエネルギーの低い軌道へ突然戻り、そのとき余ったエネルギーが光として放出される(cf. 石を1個池に投げ入れて出来る波)。ガラス管の中には、このような光を出す原子が多数あるので、原子から出た光は重ね合わせられ、乱雑に交じり合っている(cf. 多くの石を池に投げ入れたとき、発生する波が重なり合ってできる複雑な波)。
○レーザの光
原子を励起する(ポンピング)電流の郷土を増すと、ますます乱れた波が発生すると考えるのが従来の物理学の考えであったが、現実にはまったく異なっており、乱れのない完全に整った無限に続く並みの列で構成された光が出現した。
たとえ話)
原子1個1個を人間で置き換え、水路に沿って並ばせる。水路に波がない状態は光がないことを意味する。水面を棒でたたくと波が立つが、これは原子からの光の放出に相当する。
不規則に水を打つのが普通の光(電灯など)であるのに対し、レーザでは皆が完全に歩調をあわせて打ち、その結果規則的な波が立つ。
人間の場合には、背後に指揮者がいて調子をとれば、このような規律が保てる。レーザでは、このような指揮者はいないので、自分自身で規則を保たなくてはならない。即ち、秩序がなかった動きを自ら組織するような協同現象が発生している。
レーザの自己組織化 †
光子が装置内に長く留まると、他の原子を誘導して同じ位相の光を放出させる。これにより、特定の位相のレーザ光を強め、一定の位相を持った秩序の高い光が自己組織化される(誘導放射)。
自然科学・哲学系メモ