科学的宇宙論

混沌の増大と宇宙の熱的死

自然の一方向性

物事は常に混沌が増す方向へ変化する(不可逆過程)。
(ボルツマン - L.Boltzmann;1844-1906)

が、力学は可逆過程と前提としている。

混沌とは何か

日常的にいうならば“乱雑さ”。

ものの移動する先の可能性が多いほど乱雑になる。ただひとつの可能性しかないとするなら、それは整理された秩序ある状態が実現している、と考える。

物理学的にいうならば“無秩序さ”(randomness, disorder)。

混沌の程度を表すものは、異なった可能性の数である。

エントロピー

S = k logW (ランダムネスの尺度)

k : ボルツマン定数
W : 可能な状態の数(無秩序さの程度を表す量)

ボルツマンの原理

	自然は最も多数の可能性を持つ状態へと向かって変化する。

ex)

(上から下へ)

閉じた系(closed system)と開いた系(open system)

もし、常に混沌が増大する(エントロピーが増大する)とするなら、なぜ秩序ある構造(特に生命)などが実現するのか(その余地があるのか)。

解)
熱力学第二法則(即ち、エントロピー増大の法則)が成立するのは、閉じた系に対して、である。例えば、宇宙初期におけるビッグバン(宇宙の膨張)は、“宇宙”という閉じた系(その外部との相互作用が無い系)において起こった現象である。

生物は、負のエントロピー(シュレディンガーのネゲエントロピー)を消費して(食べて)(正の)エントロピーの増加を抑え、秩序を形成し、それを維持している、と考える。

生命体を含む全宇宙は閉じた系であり、全体のエントロピーは増大しているが、宇宙の一部(開いた系)のエントロピーは減少可能である。

(閉じた系全体エントロピー) = (エントロピーの減少量) + (エントロピーの増加量)

(エントロピーの増加量) > (エントロピーの減少量)

(閉じた)系全体としてエントロピーが増大していれば、その内部(一部)でエントロピーが減少することは許される。


自然科学・哲学系メモ


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