宇宙の年齢

宇宙の膨張速度を逆算すると、宇宙の年齢を導くこともできます。

ビッグバンモデルでは、ビッグバンの時点を宇宙時間ゼロの点(インフレーション理論では、ビッグバンは宇宙時間10-41秒とされていますが、マクロな宇宙年齢を考える際は、このような時間は無視しても良いでしょう)として考えます。例えば、距離 r における星(または銀河)の後退(膨張)速度を v とすると、その星は現在まで r/v だけの時間を過ごしてきていることになります。これは、ハッブルの法則(v=H0r)より 1/H0 に等しくなります(H0 は現在におけるハッブル定数)。この時間のことを“ハッブル時間”と呼び、宇宙が誕生時点からずっと変わらない割合で膨張していると考えたときの宇宙の年齢になります。

しかし、先にも述べてきたとおり、宇宙の膨張速度は一定ではありません。また、宇宙は現在、減速しながら膨張をしている、と考えられています。これは、宇宙には大小さまざまな天体が存在するので、それらの重力でお互いに引き合おうとする力、即ち、膨張を引き止めようとする力が働いているためであるとされています。このため、実際の宇宙の年齢はハッブル時間よりも大きい(長い)ことになります。ハッブル時間は、宇宙の年齢の最も大きな限界(上限)を示している、と考えるのが妥当でしょう。

また、この方法に従う限り、宇宙の年齢は、ハッブル定数によって変わります。現在、宇宙の年齢は50〜200億年の間でさまざまに考えられていますが、これはハッブル定数がさまざまに考えられている、ということであるのです。当初、ハッブル定数は、約500 [km/sec/Mpc]ほどであると考えられていました。現在の最新理論では約71[km/sec/Mpc]ということで、宇宙の年齢もこのことから約120億年だろうと推定されています。ただ、これは観測方法によって異なってくることもあり、まだまだ確定することはできません。